舌には全身の健康状態が現れます。
ここでは色々な舌の状態について説明します。

舌苔(ぜったい)

舌の上の面(舌背)に付着している苔のようなものを舌苔と言います。
普通は白っぽい色をしていますが、黄色や茶色、時には黒色となることもあります。
無症状が普通ですが、口臭や味覚障害の原因となることもあります。
清掃法:歯ブラシ・ガーゼ・タオルで軽くこすりますが、
専用の器具も市販されています。
なお、舌苔は消化器系の疾患の一症状として表れることもありますので注意が必要です。
真菌症(カビ)や他の粘膜疾患の可能性もあります。
治りにくい場合には、受診した方がよいでしょう。

黒毛舌

舌背に黒い毛が生えたようになっています。
これは、舌の糸状乳頭が伸びたものですから、こすってもなかなか取れません。
原因としては、長期にわたる抗生物質やステロイド剤の内服による副作用や、 口の中の衛生状態が悪いことなどがあります。
また、喫煙とも関係しているようです。

地図状舌

舌背や舌の側縁に地図のような模様がある場合を言います。
この原因はまだよくわかっていませんが、ストレスと無関係ではないようです。
小さい子供に多く、男性より女性に多いといわれます。
多くは無症状で 病的ものではありませんが、時に刺激痛がみられることもあります。
そのような場合には、うがい薬(含嗽薬)や軟膏を用います。

溝状舌

舌背にいくつも深い溝があるものを言います。
これは、年齢と共に増加する傾向があります。
溝が不潔になって炎症を起こすことがあるので、清潔を保つようにします。
癌との関係を心配する方も多いですが、無関係だと言われています。

舌白斑症

舌の一部にこすっても取れない白い模様ができます。
前癌病変の場合もある為、注意が必要です。
癌化の可能性を調べる為に一部を採取し組織検査を行います。
治療は多くの場合、切除し、経過をみます。

舌の周りに何かができた

心配の必要がないものと精密検査の必要なものがあります。

心配の要らないもの
口内炎、歯の鋭縁や入れ歯の刺激による潰瘍 (「褥瘡性潰瘍」・じょくそうせいかいよう)

精密検査の必要なもの
心配の要らないものだと思っていても、原因が除去されたにもかかわらず、 なかなか治らない褥瘡性潰瘍は癌との鑑別診断が必要となります。
潰瘍を形成していない場合では、
表面がでこぼこしていたり、盛り上がっていたりする場合は、組織検査を必要とします。

舌がん

好発年齢:50代から60代の男性に多い。
原因:不明。慢性の機械的な刺激や、喫煙、飲酒も原因の一つと考えられています。
症状:潰瘍型の場合、潰瘍をつくるまでは無痛です。
潰瘍を作らないタイプもあります。
好発部位:舌の縁の部分が後発部位ですので、その部分に気になるものを見つけたら、受診した方が良いでしょう。
間違えやすいもの:舌の奥の方にある葉状乳頭や舌扁桃という凹凸のある組織を 舌がんと間違える人もいますが、これは心配の必要がないということは言うまでもありません。

舌がチクチク痛い

原因があれば、その治療をします。 舌痛症というものもあります。

舌痛症

舌に異常がなく、また全身的にも異常がないのに痛い場合をこう呼びます。
舌がんに対する恐怖心から舌痛症になることもあります。

どちらにしても受診して異常の有無を調べます。

ガマ腫

舌の下部が膨らんできた場合、一番多い のがガマ腫(粘液貯溜嚢胞)です。

原因:唾液腺からの唾液の流出が何らかの原因で妨げられ、粘膜下に唾液が溜まったものです。
好発部位:舌では舌の先端部の直下
治療:外科的切除(普通は外来での処置です)