補綴の前処置としての外科
ここでは、項目だけ説明することにします。詳しくは受診先の歯科医にご相談ください。
ここで言う補綴とは殆どが義歯を指しています。
高齢者が多いということから、一般開業医でなく入院設備のある医療機関へ紹介となるケースもあります。
顎堤形成術
顎骨の吸収が激しく、義歯を入れるのにどうしても維持が求められない場合に顎堤を人工的に形成する 場合があります。これを顎堤形成術と言います。
歯槽骨整形
抜歯した後、そのままだと骨の吸収度合いに差がある為、義歯装着後に痛みが生じたり、 義歯の安定が図れない場合がみられます。こういう不都合を避ける為に歯槽骨の形状を整える目的で行われる手術が歯槽骨整形です。
これは、補綴の前処置としての外科の中では高頻度で行われる手術です。
骨瘤(骨隆起)切除
歯槽骨の状態には、他の部位と同じように個人差があります。ただ、顎堤の形が変わって見えるほどの骨隆起の場合は義歯の出し入れの時に痛みを発現する原因になったり、また、装着した義歯が不安定になったりする原因となります。
もう一つは、骨隆起の部分は粘膜が薄い為、義歯装着時の痛みの原因となる場合もあります。
こういう具合に、存在により義歯を装着する上で不都合となる骨瘤を削り取ってしまうのが、 この手術の目的です。
小帯切除
頬粘膜と歯槽頂の間、或いは口唇と歯槽頂の間は紐のような「すじ」で繋がっています。この紐を、それぞれ上唇小帯・下唇小帯・頬小帯と呼びます。
普通、義歯を作製する場合には小帯の部分に義歯が当たらないよう、義歯の床縁(周り)の形を調整するわけですが、 この小帯が歯槽頂(歯槽骨の上の方)に付着している場合は、義歯をそれ以上削るわけにいかないので、 口唇や頬の動きによって義歯が動くことになります。
このように、小帯が義歯の安定を妨げている場合、小帯を切除することがあります。
これを小帯切除術と言います。
顎堤形成術
長期間義歯を装着していなかったり、不適合な義歯を装着し続けていたりした場合、 顎堤の吸収が起こります。顎堤は、ご存知のように義歯を支える場所の一つですから、 これがないということは、義歯が不安定になったりする原因となります。
このような場合に、人工的に顎堤を作るのが顎堤形成術です。
義歯が不安定になる以外には、顎堤がない為にオトガイ孔に直接義歯が当たって痛い等の場合にも行うことがあります。
浮動歯肉切除
長期間にわたる不適合義歯の使用により顎堤が吸収し、 さらに歯肉が増殖した(フラビーガム、またはコンニャク様顎堤と言います。)ために、 義歯を装着しても、いつも浮いたような状態になって落ち着かない場合、その歯肉を切除する場合があります。これを浮動歯肉切除術と言います。
上記のような手術を補綴の前処置としての外科手術と言います。