生活習慣病としての歯周病

歯周病の成り立ちを考えてみると、必ずしも加齢と細菌だけが原因で起こるわけではなさそうです。
これは、最近まで「成人病」と呼ばれてきた心疾患・脳血管障害と同じように、日常の生活習慣が深く関係していると思われます。
歯周病における生活習慣とは、口腔内の状態・生活環境・食生活・健康状態が主なものです。
歯周病の発病と進行が 、これらの状態に左右されることは言うまでもありません。

日本人の三大死因と呼ばれる、悪性新生物・心疾患・脳血管障害などについては関心が高いにもかかわらず、歯周病は生命の危険と隣り合わせでないためか、無関心な方が多く見られます。
しかしながら、歯周病と他の全身疾患は無関係ではないということがわかってきています。
悪癖 歯周病を起こす因子としては、
前述の口腔内細菌と加齢の他に、
喫煙(詳細はこちら)・糖尿病・薬物・骨粗鬆症・過労・ストレス・睡眠不足などがあります。
(東京医科歯科大・石川教授による)
逆に歯周病との関係が判明している全身疾患としては、
糖尿病・心血管疾患・肺炎・呼吸器疾患・早産・低体重児・胃潰瘍などがあります。


近年、歯周病が糖尿病の症状を悪化させるという逆の関係を示唆する研究報告が相次いだことから、歯周病と糖尿病は互いに悪い影響を及ぼし合っていると考えられるようになりました。
 中でも歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)から血液中に移行した歯周病菌が毒素をまき散らすことで、脂肪組織や肝臓から、サイトカインの一種であるTNF-αの分泌が活発になることが明らかになっています。
サイトカインとは特定の細胞に情報を伝達するタンパク質のことです。
 TNF-αはインスリンの働きを弱めるため、血糖値は下がりにくくなります。
つまり歯周病が血糖値をコントロールしにくい状況をつくり出し、糖尿病の発症につながる可能性があるのです。