充填材料

充填材料の種類

充填材料は大きく分けて、セメント系のもの・レジン系のもの・アマルガムの3つに分類されます。


  • セメント系のもの
    昔使われていたケイ酸セメントは絶滅したと言っても過言ではないと思われます。
    現在主流となっているセメント系の充填材はグラスアイオノマー系のセメントです。


  • レジン系のもの
    化学重合レジンは今や殆ど見ることがなくなり、光重合レジンが使われています。
    これは光によりレジンを重合させる(固まらせる)ものです。
    一時期環境ホルモンの溶出が問題となりました。


  • アマルガム
    昔から現在に至るまで、ずっと使われている充填材です。
    水銀化合物を使うということと、色調が歯牙の色調と違うということ、
    あとは次回来院時の研磨が必要ということで、使用は減ってきているようです。

この中で、一番操作性に優れ、色調再現性に優れているのは、やはりレジン系のものでしょう。



環境ホルモンについて

虫歯を削ったあとの溝などを埋める充填材から、ホルモン様物質のビスフェノールAが 溶出しているとの研究結果が1996年3月、米国の科学雑誌に発表されました。
この物質は熱湯を入れたポリカーボネイト製ほ乳瓶からも溶出した エストロゲン(女性ホルモン)様物質のことです。
歯の溝を埋める充填材の中で、 コンポジット・レジンやシーラントと呼ばれているものがそれです。
歯科の現場で使われているものは、空気に触れて自然に固まるもの(化学重合レジン)と、 光を当てるとすぐに固まるもの(光重合レジン)の二種類があります。
このレジン系充填材から、ビスフェノールAが溶出するのは、
ビスフェノールAを化学構造にもっているビス・GMAなどをモノマーとして用いているためです。

日本歯科医師会の問い合わせに対し、
1997年10月2日、歯科材料メーカーで組織した「日本歯科材料工業協同組合」(東京)は、 「ビスフェノールAは、ビス・GMAなどの合成の際の未反応物質として、 あるいは分解産物として微量含まれる可能性はある。
しかし、充填材は硬化させて使うものであり、溶出していないので問題ない」と 回答しました。
さらに続けて「ビスフェノールAを細胞培養やラットに多量に投与すれば、 精子の減少や乳がんの増殖促進などの作用はありえると考えられるが、 溶出していないので、ほとんど人体への影響はない。
米国歯科医師会も何度も安全性の声明を出している」と答えています。
(毎日新聞1997.12.28「続 しのびよる人体汚染(8)」を参考にしました)